ＪＲ北海道から保線業務を請け負う子会社「北海道軌道施設工業」の札幌支店管内にある複数の出張所で、幹部らが下請け業者への外注費を水増しして現金をキックバック（返納）させるなどの手法で多額の利益供与を受けていた疑いがあることが３１日、分かった。北海道軌道の元出張所長は北海道新聞の取材に、外注費水増しなどの事実を認め、現金返納分を職場での飲食代や、一部私的に流用したと証言。下請けの元社長は取材に「ＪＲの仕事をもらう見返りに返納などを指示された」と話している。

　ＪＲ北海道は同社グループの倫理規定や法令に抵触する可能性もあるとして、昨年１２月末、北海道軌道に調査を指示した。レールのずさん管理や検査データ改ざんなどの不正が判明したＪＲの保線現場で、新たな不祥事の疑いが明らかになった。

　北海道軌道幹部らが利益供与を受けていたとされるのは、苫小牧市の下請け業者。業者は２００４年に設立され、１０年に倒産した。

　この間、北海道軌道札幌支店管内の出張所長やＯＢら少なくとも４人が、ＪＲ千歳線や函館線の線路工事や除雪作業などをこの下請けに発注する際、現金を返納させるなどしていた疑いがある。
＜北海道新聞１月１日朝刊掲載＞