プチ労112回「近現代日本150年の労働者・民衆の闘いの歴史」第22回
<2020-6-28プチ労112まとめ>
参加者:8人 中高年:青年=3:5 地域:それ以外=5:3
メニュー:6月恒例インドネシア風肉味噌丼、タフ・ゴレン・サンバル(厚揚げとトマトの甘辛炒め)
◎「近現代日本150年の労働者・民衆の闘いの歴史」第22回
レポーターあさみさん
第三章(4)「労働の尊厳の奪還」を広く追及した1930年代の労働運動
第一節概説(GO)、
第二節 最高潮の契機‐東洋モスリン等繊維業女性労働者の闘い(あさみさん)
自前の資料も含めて、レポーターの小気味のいいレポートで、亀戸の女工たちの闘う魂-「南葛魂」、今につながる女性労働者の戦争を止めたかもしれない闘う力が、くっきりと浮かび上がった。
GO:第一節は、個々の現場の闘いを見る前の概説として、労組団体の変遷を見ている。
前に見たように1920年代後半、評議会が総同盟から分裂して以降、現場労働者が戦闘的になるにつれて右派から左派への分裂が続いたが、「満州事変」以降、戦争を支持する右傾化になる。その離合集散、わかりにくいので「早わかり表(6P)」を見てほしい。
そのなかでも、評議会を引き継いだ「非合法」の左派、全協が運動の軸となっていく。
ちなみに、「合法」「非合法」とは、労働組合法がない戦前では、治安維持法違反と認定されるかどうかだった。だから「合法・右派」といっても、今の「御用組合」とちがって、会社はすきあらば追い出そうとし、逆に組合は相当の実力闘争もした。
Uy:労働組合の「法」がなかったんだな。
Reporter As:第二節、1930年代に入り、労働運動の先駆けとして、繊維の女工さんたちの闘いが始まる。
繊維女工のストは、1880年代からあったが、1930年になり、東京江東地区、亀戸全体を揺るがす東洋モスリンの大争議が起こる。モスリンは、後の化繊の前の薄いウール地の織物。亀戸全体でも女性労働者は4割を占めていた。
亀戸は、関東大震災の時に、虐殺された朝鮮人と連帯して弾圧された南葛労組など、1920年代から戦闘的労働運動のシンボル「南葛魂」発祥の地。
Mg:今でも、漫画「キャプテン翼」の中にも「南葛魂」と描いた応援旗などがよく出てくるが、あれか。
As:1930年9月、会社の大量解雇発表で、2,500人(うち女工2,000人)の労働者が全員ストに突入し工場内に立てこもる。亀戸住民7万人が連帯して支援。10月には、江東地区で争議中の労働者と連帯し、地区のゼネストになる。
会社は、女工の郷里の親たち、女工保護組合を逆利用して切り崩しを図るが女工たちは頑張る反面、幹部の検挙が続いて組合指導部(全労‐合法中間派)が弱気になり11月にようやく争議は終結。
結果は、組合組織一掃という惨敗だったが、亀戸住民全員が支援し、江東地区ゼネストとして城東電車・第一製薬・青木ロールなどの争議は勝利させるなど大きな成果を残した。当局も必死だった。⇒資料参照。
平均年齢17歳の女工たちだった。
Ys:すごい、すごい!こんな闘いがあったんだ!
N:1920年代半ば、長野の諏訪地方でも、女工たちの搾取はひどかったが、なかなか立ち上がれなかった(その後、1933年、長野県での2.4事件と言う大弾圧は、諏訪の女工たちが立ち上がったことだった)。
亀戸の彼女たちはどうして立ち上がったんだろうか。
Uy:「草稿」にも、女工さんたちが勉強する「労働女塾」が紹介されているが、13-14歳で女工になり文字も読めなかったのが、勉強していったからかな。
GO:1929年7月、ようやく、1911年工場法の女性の深夜業禁止規定が施行され、「勉強する時間」が多少できたこともある。
そして、前にアメリカの労働者が1936年に創造的な「Sit-Down strike(工場座り込みスト)」を編み出したことを見たが、それより、女工たちの工場占拠は6年も早い。
国鉄闘争呼びかけ人の近代史研究者伊藤晃さんは、「紡績女工たちは労働者の国際連帯の最前線にたっていた」と言う。(「草稿」17pコラム参照)
中国侵略の尖兵も紡績資本であり、1920年代後半からの中国の労働運動の契機は日本の紡績資本だった。中国の労働者との連帯が戦争を止めていたかもしれない。
しかし、日本で紡績業は「基幹産業」ではなく「女の産業」と呼ばれ、労働運動でも女工は「補助的出稼ぎ労働者」だった。主力であるのに主役にされなかった。
世界では、こうした「人権、人間として生きさせろ」という「普通の労働者」の運動は、労働運動の歴史を貫く赤い糸である。
ファストファッションの裏側を描いた映画「TRUE COST」に登場するアジアの女性縫製労働者や我々も支援したアメリカンアパレルユニオンの闘争にも見られるように、今も、女性の労働の尊厳の問題は同じであり、「普通の労働者」として見る目が問われ続けている。
次回7月26日プチ労113回目は、「第三節 広がる労働者の蒸気―遊郭の女性たちのストライキ」。引き続きあさみさんと、独自に研究していたしょうごさん、初のWレポーターでやってもらいます。
以上
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