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 1月29日(火)
 オリンピック返上!
質問事項に電話ではなくみんなの前で答えろ!
1月29日  都庁突撃訪問
都庁の回答詳細

オリンピック返上!

質問事項に電話ではなくみんなの前で答えろ!

1月29日  都庁突撃訪問

 

 昨年末、みなさんから頂いた署名とともに突きつけた質問状に回答しない都庁。怒り心頭の私たちは14日仕事始めの日に抗議とともに129日に再訪問するのでまともな返事を用意するよう申し入れ。

 1ヶ月前の申し入れにもかかわらず、直前になって「都民にいちいち応えてられない」と面談拒否の連絡! 新たな人も参加するというので、「フクシマにフタするな!五輪返上を求める会」として29日に都庁を突撃訪問。

 

 第一庁舎総合受付で『福島にふたするな!五輪返上の会』のパネルをもってすわっていると、「私もその意見に大賛成!」と声を書けてきたご婦人。「だいたい嘘で始まりわいろで誘致のオリンピックなんてやるべきじゃない。竹田は悪い人、築地の問題も許せない。食のテーマパークはどこに行ったの?小池に投票する奴の気がしれない!怒っています」と盛り上がる。

 にわかに、警備の人らしき人が増え、耳打ちなどし始める。一人の警備のおじさんが「パネルは膝に立てないでねかしておいてくれませんか?」といってきた。

「これはアピールのためではなく、ここで待ち合わせをするために会の名前をかかげているので、横にするわけにはいきません」と拒否。

 新しい参加者2名を加えて、6名で出発。東京都記者クラブにも初めて寄って此の間の経緯を書いたものを渡してから14階のオリンピック・パラリンピック準備局へ。

 

 前日までずっと「来てもらっては困る。電話でしか対応できない」といっていたオリンピック準備局の担当者はなんと廊下で待っていた????

電話でしか答えられない理由は、都民一人一人に会ってお答えする人員も体力も場所もないということだったが、廊下でスタンバイしてる時間はあったんだ!びっくり!

6人で来たがやっぱり電話で答えるのか?と聞くと、廊下のドリンクコーナーで答えるという。これも立ったままで失礼な話だが10項目の質問事項の回答を聞くことに。

 

(質問と回答の詳細は後添別紙)

  

<無責任でアブナイ!東京都回答!!>

 

●たった8箇所のモニター!五輪競技場も都内ホットスポットも除染はまったくしない!!

まず、1から4の放射能関連の質問については都内8か所(区部5か所)に2011年より前からモニタリングポストが設置されており、原発事故後も変化なしなので問題はない。今後も競技場などにモニタリングポストを設置する予定はない。管轄は福祉保健局。(たった8か所しかない、ホットスポットが多数在るのにそれだけで安全といえるのか?)ということに関して少ないというのは認めた。また、除染も内閣府が決めた値を上回った時にやるので、除染の予定なし。

 

●「猛暑対策」は無策!

どれもひどい答えだがさらにオリンピック準備局の担当だという質問5番の暑さ対策。暑さ対策は現在進行形で検討中。救護所を設けたり、ボランティアの人にこえかけしてもらったり、つまり無策。(マラソンコースはどうするのか?)の質問には、木を植えたり、

(あんだけ伐採したのにか!の声)とにかく検討中、という名の無策。暑さのことを招致の段階で考えてなかったのか?という質問には「それはそちらのご意見」と一蹴する。

 

●五輪用新規施設の赤字はすべて民間まかせ!

 

質問7番、開催費用膨張、多額の債務はどうするのか?への返事は、開催費用6000億円は基金を積んであり、大会関連費用8100億円は大会があろうが都の事業としてやるものだ。その後都政に生かせるものと考えている。新施設の赤字はスポーツへの投資で民営化で解消すると堂々と赤字が出てもいいのだとのたまう。

 

●放射能管理も、大会準備・運営は「縦割り」無責任体制!あぶない!!

 

さらに、全体としての無責任体制が暴露された。たとえば福島Jビレッジから出発する聖火リレーの放射能管理は東京都ではなく福島県がやるという。そんなんで大丈夫なのか??

他にも質問6の高温注意報は気象庁がだし、光化学スモッグ注意報は都の環境局が出し、競技を中止するかの判断はオリンピック組織委員会が出すという。そのバラバラ感に一同開いた口がふさがらない。

 

●「見解がちがう」? 招致賄賂偽悪と選手への食材の安全について追加質問

 

 追加質問項目、(竹田わいろ疑惑と食品の放射能管理について)を渡し、こちらが納得するような答えを用意するようにいうと、「見解が違うのでそちらの意見に沿うようなこたえはできない」と言い放つ。

 

これまで黙って聞いていたmさんが怒りの声をあげた。「国会答弁のような誠意のない答え方では納得できない。都民の声にそってこたえるようにするべきではないか」

担当者はしきりに時間を気にしだした。12時になると昼休みで職員が出てきてしまうからだ。いったん終わったがまだ質問したいuさんはドアのところで担当者にせまっていた。

質問項目に対する答えは思った通りひどいものだが、今後につながるものもたくさんある。

 

今後も材料をもって、引き続き都庁とのやり取りを続けたいと思う。

今回の訪問では、何より新しい参加者が2名もいたこと、会の名前を掲げていただけでこえをかけてくれるひとがいたこと、結局オリンピック準備局にみんなの前で答えさせることに成功したこと、が良かった点。さらにどうやら監視付の会に格上げされた。

 

次回はオリンピック組織委員会訪問も控えている。いよいよオリンピック返上のボルテージがあがってきた!

 

以上

   
   

別紙 <東京都:オリンピック返上!にかかる質問と回答>

 

日時:2019129() 午前11

場所:東京都庁第一庁舎北側14

オリンピック・パラリンピック準備局外側廊下で立ったまま!

先方:オリパラ準備局総務部総務課 志田総括課長代理(広報担当)

当方:6名 (  )内発言は当方の追加質問

 

*付録:最後に手渡した追加質問状を添付。

 

(質問事項)

1. 2020年東京五輪は、『復興五輪』であるとされています。そうであれば、福島県はじめ東北、関東地方が安全になったことを世界にアピールするためにも、聖火リレー、五輪競技や関連イベントが行われる全施設・道路および、空港、選手村、駐車場等にモニタリングポストを設置し、また各選手団にガイガーカウンターを配布して、選手・観客にその目で放射線量を確かめてもらうべきだと思います。それができないのであれば『復興五輪』は嘘になりますし、復興していないのであれば五輪自体開催するべきではありません。設置・配布はしますか? 設置・配布をしないのであれば、その理由は何ですか?

 

1の回答

都として新たにモニタリングポストの設置・配布は考えていない。

現状、モニタリングポストは都内に8箇所あり、その内7箇所は東京都福祉保健局の管理、1箇所だけ産業労働局の管理。因みにこれは2011年以前から設置されており、原発事故後も数値は変化なし。つまり質問3の答えになる。
質問1のガイガーカウンターについてと質問2の聖火リレーについては組織委員会。

2. 福島から聖火リレーが出発し、県内で競技を行うことは、選手・観客を無用な被曝にさらす行為であり、不安と怒りの声がずっと続いています。聖火リレーのコース、福島で予定している競技開催場所の変更をしますか? 変更しないのであればその理由は何ですか?

 

2の回答

この判断・実施は組織委。

3. 2020年東京五輪招致に際して、安倍晋三首相は、「原発事故の影響はコントロールされている」と演説しました。今現在、都はこの認識を共有していると考えてよろしいでしょうか?

 

3の回答

前提として原発は国の管理。都は都内の放射能管理が担当だが、都内8箇所にモニタリングポストが2011年以前から設置されており、原発事故後も数値は変化ないと認識している。

 

4. 東京都内各地に、ホットスポットと呼ばれる、局地的に放射線量の高い地域があります。こうした地域を2020年東京五輪開催までに、都として全て除染する予定はあるのでしょうか? 除染しないのであればその理由は何ですか?

 

4の回答

除染については内閣府などの国が決めた基準値を上回った場合のみやるので、現状8箇所のモニポスの数値が基準を上回る水準ではないので、都として都内の除染の予定はない。

競技場等オリンピックの施設については、都として特に調べていない。

都内以外の会場については、それぞれの自治体の判断。

除染の判断・実施は、都の環境局の担当。

 

5. 真夏の開催となる2020年東京五輪の期間中は、猛暑が予想されます。都は選手や観客に対して安全を保障できるのでしょうか?また、ただでさえ病床や救急車が不足している中で、選手や観客が次々に倒れるといった事態が発生した場合、対策はどのようにしますか?

 

5の回答

担当は準備局。結論的に、「暑さ対策」は現在進行形で検討中。会場と駅の間、我々は「ラストマイル」と呼んでいるが、そこでの救護が東京都の責任。そこでの対策は、ボランティアからの呼びかけとか、冷却するモノを持ってもらう?とか、救護所の設置とか、検討中。

会場内については組織委の担当。

(打ち水?笑っちゃう) 道路の暑さの遮蔽、緑陰の確保で街路樹を多く設ける(逆に、無電柱化で街路樹を切っているのでは?)とか

(「会場内」と区切れない外のマラソンコースは?)そこは組織委と連携して検討中。42キロもあるのでどこまでやるかということも。

(「検討中」というのは、暑さのことを招致の段階で考えてなかった?)それはそちらのご意見。

 

6. 2020年東京五輪の競技中に、気温が高温になり、あるいは光化学スモッグが発生した場合、従来どおり注意報・警報を発令しますか? そして、速やかに競技を中止しますか?

 

6の回答

光化学スモッグ発令は環境局。高温注意報は気象庁。競技中止の判断は組織委。

 

7. 2020年東京五輪の開催費用は、膨張を続けています。過去の五輪の開催都市では、多額の債務を抱え、返済に数十年を要したという例が少なくありません。都として、今大会で具体的にいくらの債務を抱え、それを何年かけて返済する計画なのか、お聞かせください。また、都が運営することになる7つの新施設で年間計10億円ほどの赤字が見込まれています。これを解消する方策は考えているのでしょうか?

 

7の回答

担当は準備局。前段の債務の件は、東京都が分担する開催費用が6千億円、そのためにもともと基金を積んでいる。そのなかから払っていくので後年度に向けて都債を発行することはなく、何年という返済計画はない。

(基金、それ以上にはならない?)はい。

(それは直接経費だけ?)それ以外に大会関連経費が8100億円。大会があろうがなかろうが?都の事業としてやるもの。(例えば気運?助成事業?)その後都政に活かせるもの。(オリパラ授業?など教育だとかは「関連」?)

新規施設の赤字の件、たしかに赤字がでる施設もある。将来へ向けてのスポーツの投資(としてしかたない?)という観点。それと赤字縮小のため、ネーミングライツ、コンセッション方式で事業者が利益の出る運営方式を検討してもらうなど、検討中。(またまた民営化!)

(陸連の人はそんな新規施設不要と言っていた)それはその方のご意見。

(いくつ赤字になるのか?)「跡利用計画」と言う形で一昨年に数字を公表している。

(関連経費に都債はないのか?) それは、毎年の都税収入の状況を見ながら検討する。

 

8. 現在、東京都内各地で再開発が進み、月島や立石、武蔵小山、大山など多くの街で伝統的街並みがすでに壊されたか、危機にさらされています。東京都は、2020年東京五輪で、世界に向けて東京という都市の魅力をアピールするつもりなのであれば、こうした乱開発に規制をかけるべきではないでしょうか。その予定はあるのでしょうか? 規制しないのであればその理由は何ですか?

 

8の回答

規制というより「都市づくりのグランドデザイン」というなかで、東京都の町並みをどうするか検討されており、担当は都市整備局。

(グランドデザインとオリンピックの関係は? 木を伐採して大きな国立競技場つくる、築地つぶすことは?)もともと築地の再開発は、オリンピックで壊したいといったわけではない。跡地を五輪に使うというのは結果論です。

 

9. 2020年東京五輪では、医療を含む多くの業務がボランティアによって担われます。しかし、大会組織委員会の幹部の年間報酬が2400万円に上るといわれる一方で、ボランティアに支払われるのは一律1000円の交通費のみです。この偏った分配を見直すつもりはありますか? 見直さないのであればその理由は何ですか?

 

9の回答

組織委の報酬は組織委。(組織委には税金は入っていないのか?) 入ってない。スポンサー収入でやっている。ただし、組織委に派遣されてる都職員の給料は都が支払う。

ボランティアについては、都は「都市ボランティア」をやっている。組織委は「大会ボランティア」。

「都市ボランティア」は、さきほどの「ラストマイル」など都の所管の範囲での道案内。組織委と同じ千円を都なりに交通費実費など勘案して妥当として決定。

(千円への批判は?)承知しているが今のところ変えるつもりはない。

(日本人と外国人の比率は?) 「大会ボラ」は外国人All-OK、「都市ボラ」は東京という町を案内するので、日本国籍?or在留資格など要件。

外国人の比率が多いのは「大会ボラ」の方。

(医療ボラも千円?)「大会ボラ」なので組織委。

 

10. 現在、シングルマザー、滞日外国人をはじめ、非正規労働者の家庭などで、貧困のために、部活などのスポーツができない非常に多数のこどもたちがいます。学校で「スポーツの素晴らしさ」を教えるオリ・パラ授業の主要な項目として、そのような社会の現状と対策を取り入れますか?

 

10の回答

オリパラ授業は、担当は教育庁。教育委員会がどう関与しているかはわからない。

 

以上

 

 

付録:<手渡した追加質問状>

 

2019129

 

東京都 小池百合子都知事殿

 担当:オリンピック・パラリンピック準備局

総務部総務課総括課長代理(報道担当)   志田透殿

 

 

福島にフタするな!五輪を返上する会

連絡先:目黒区南1-24-14 ℡03-6662-8205

反原発☆反失業リサイクルショップたみとや

富田剛・直子

 

2018112日付け質問状の追加質問

 

今年に入り、JOCの竹田会長が五輪招致を巡る贈賄疑惑で、フランス捜査当局による本格捜査を受けていることが明らかになりました。

元々、私たちの署名の趣旨には贈賄疑惑も含まれていましたが、昨年11月に質問状を出した時と状況が変化したため、この点について追加で質問をさせていただきます。

 

1、 東京五輪の招致委員会がブラックタイディング社に支払ったとされる「コンサルタント料」180万ユーロの原資は、都民の税金ですか?もしくは国民の税金ですか?招致委の予算に公金がどの程度含まれていたのか、できる限り詳しくお答えください。

 

2、 一連の疑惑を巡っては、ブラジルのオリンピック委員会の会長はすでに逮捕され、ブラックタイディングス社の経営者も、有罪判決を受けています。リオ五輪招致時の贈賄の金の流れと、東京五輪招致時の金の流れは全くと言っていいほど似通っており、日本も贈賄をしたというように世界の人びとから見られることは避けられません。このような状況で五輪を開催するのは世界に向けて恥をさらす行為です。それでもなお、五輪を開催するつもりですか?そうまでして五輪を開催したい理由(目的)は何ですか?

 

また、昨年夏には、小池都知事に対して、オリンピックメダリストら9名が、東京五輪の使用食材を懸念し、最高品質の食材提供を求める声明も発表されています。

それも踏まえて、以下の質問にお答えください。

 

1.    提供食材の中に福島県産の食品はどの程度含まれますか?

 

2.    福島及び近隣県産の食品を提供する場合、放射性物質の測定結果は表示したうえで提供するのですか?

 

3.    福島産の食品を提供すること、また、放射性物質の含有量の基準値をオリンピック開催国に伝えてあるのか?

 

追加質問は以上です。きちんと質問に対応した回答をいただけることを期待します。

 

以上

 
1月27日(日) 
 プチ労98:「近現代日本150年の労働者・民衆の闘いの歴史」第10回
 <2019-1-27プチ労98まとめ>
参加者:7人(+幼児1、乳児1) 中高年:青年=3:4 地域:それ以外=5:2
メニュー:インドネシア肉みそ丼(好評完食)、タフゴレンサンバル(厚揚げとトマトの甘辛煮)

「近現代日本150年の労働者・民衆の闘いの歴史」第10回

◎第一部 ペリー来航~敗戦~戦後革命期(1853年~1954年)
第三章 世界大恐慌~日中戦争開始まで 概説 by GO

今回は、第3章1930年代の草稿概説。MKさんが「歴史」初参加してくれて、「歴史」をどうみていくか、進め方の議論もできた。次回は、第1節ドイツで、しょうこさんレポーターの予定。

↓「草稿」PDF版
歴史第三章前半.pdf へのリンク

1. 概説

今日から1930年代。お配りした「草稿」前半だけでも100頁、第一章・第二章あわせたのと同じ分量に増えた理由も含めて、概説する。
1930年代は、ナオミクラインが「不気味なほど現代に似ている時代」とも言ったが、欧米資本主義が繁栄を謳歌していた「黄金の20年代」から、29年の世界恐慌を経て一転して貧困と大失業になる。
それとともに、世界的に労働者が立ち上がる階級闘争の時代となるので、日本だけでなく、当時、日本が手本にしたナチスが政権を握るドイツと第二次大戦後、日本を「支配」することになるアメリカをまず、1節ずつ見ることにした。

第一節ドイツでは、現在でもあらためてナチスはどうして生まれたのか、議論がさかんだが、最後のコラムにもあるように、実は、世界最大の反戦勢力でもあるドイツ労働者階級の闘いがナチスの台頭と第二次大戦を止めるのに「アト一歩」だったかも、という視点で、1933年1月ヒトラーが首相就任するまでの流れを中心に見た。
また、最後の「アト一歩」コラムでは、3月のシネマ共謀で上映する新作映画「ハンナアーレント」も引き合いに出して、キーワードは「労働の尊厳」ではないかと提示してみた。

第二節はアメリカ。世界恐慌を「社会主義的なニューディール政策」で乗り切り、ファシズムとの戦いを自由と民主主義の代表として勝利した」と言われるアメリカだが、実は、「アメリカの民衆史」のハワードジンが言うように、当時、労働者の反乱で「体制崩壊の淵にたっていた」。
そして、ヒトラーと同じ1933年、3月に大統領に就任したルーズベルトの「ニューディール」も資本の延命策として、資本代理人ナチスの「兄弟」であり、結局恐慌を乗り切れず戦争で解消しようとしたという視点で、その中での労働者の闘いの流れを見る。
もうひとつ、まんなかあたりのコラムにあるように、最近、アメリカで「ナチスの反ユダヤ法のモデルはアメリカの南北戦争以来の人種差別法制だった」ことが論証された。
アメリカの黒人解放運動指導者のデュボイスは1903年に「20世紀の問題は、皮膚の色による境界線(COLLAR-LINE)の問題」と言ったが、引き続き現代のアフリカが「白人」による収奪の場であるだけでなく、アメリカでは、1930年代を人種差別法のピークとしながら、今のトランプに見られるように、一貫して資本主義が困難に直面すると人種分断が持ち出されている。
民族と人種の分断は、資本主義の延命のために、1930年代、ドイツとともに日本でも朝鮮・中国民衆の「二級国民化」として用いられたし、今、再燃している。

第三節は、ドイツ・アメリカを踏まえて、日本の「満州」侵略。朝鮮侵略の矛盾が「満州」侵略を自ずから引き起こしたという入り方だが、その一方、日本国内に蔓延していた「時代の閉塞感」が侵略を支持し、「満州国」、それが唱える「王道楽土」は、社会主義者も含めて一種の「希望」だったともいえる。
その意味で、現代日本の「時代の閉塞感」からして、「現代の写し鏡ではないか」という視点で、あまりよく知らなかった「満州」をめぐる当時の青年の心情などいろいろ追ってみて分量も増えた。
また、石原莞爾の「東洋の王道」思想は宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に同じ国柱会会員として通じるものがあり、さらに、宮崎駿の「風の谷のナウシカ」では、「焦土のなかで王道楽土建設」といわれ、当時の「満州国」承認のための外相演説「日本を焦土にしても満州国」もあり、まったく棄民にされた満州国開拓移民とともに、現代日本の「放射能でフクシマを焦土にしても日本の復興」が連想されるというコラムもおいた。
そして、「満州国」での国家・資本の実験はまったく失敗であるにもかかわらず、アベの祖父岸信介らが何の反省もなく、その「統制の体制」を第二次大戦後に引き継いで、同じく朝鮮戦争を踏み台にして「高度成長」を仕掛けた、という現代に連続する点を見る。
しかし、その上で、結局「満州国」を崩壊させたのは民衆の抵抗だったという視点で、抗日武装闘争と「満州の兵站基地」とされた朝鮮での民衆の闘いを見る。
特に、現代でも課題である「抵抗の統一戦線」結成については、「満州」の抗日武装闘争では、ドイツでもアメリカでも日本でも闘いを混乱させたスターリンのコミンテルンの指示からは自立して形成された点でみるべきものがある。
一方、朝鮮では、日本の激しい武力弾圧のなかでも文字通り「地下化」しながら戦いぬかれ、第二次大戦後、アメリカの「反共政策」でつぶされるまで、全土にわたる民衆自治政府を結成する動力となった労働運動と農民運動の革命的な闘いを見るが、そのなかでも解散せざるを得なかった民族解放統一戦線「新幹会」の顛末に現代に問いかけるものがある。

ここまでが、第三章1930年代前半で、今年夏くらいまでかけてやれたらと思う。

「草稿」本文はないが、後半をコメントすると、
第四節は日本の労働運動。1930年代の労働運動は「すべてを押し流す満州事変が勃発し、労働組合が一斉に右傾化して敗北し、日中戦争とともに始まる国家総動員体制で壊滅する」と言われるが、まさに「労働の尊厳」を奪う非正規化が進む現代からあらためて見るべきことは、当時の労働運動が「労働の尊厳」の奪還を幅広く追求したことではないかという視点で追っている。
20年代、戦闘的な労働運動をリードした評議会を引き継いだ全協の運動を軸としながら、当時の闘いの2大主力となった遊郭の女性も含む女性労働者と在日朝鮮人の創造的な運動を中心に詳しく追ってみたので分量も増えた。

第五節は農民運動。個人的に大学の専攻や会社の仕事を通じた農業・農民への関心もあり、割と詳しく追った。その視点は「どうして農民運動は労働運動より一貫して“左派”だったのか?」。
農民運動は、「左派」として「地主支配体制と妥協せず、天皇制国家とも果敢に」闘った結果、第二次大戦後の農地改革もアメリカに与えられたものではなく、自らその基盤を勝ち取っていったといえる。
あわせて、その過程を跡付けながら、農民にとって土地とは何か、彼らの掲げた「土地を農民へ」というスローガンの意味を考えてみた。
それらを踏まえて、当時、労働運動はより農民運動から学ぶべきことがあったのではないか。それは、さらに、現代、農業に関連しても「自分なりの生活と労働を新たな協働で創ろうする青年たちも多くいる」なかでは、新たな「労農連帯の課題」を問いかけているのではないか、と提示してみた。

こうしたことを通じて、戦争・原発・格差拡大、天皇制、民族と階級の問題、等、これからの日本どうなる、ということ、それから、今、みんなは、そして、「満足している」ともいわれる若者は、どう立ち上がるのか、等、考えていけたらと思う。

2. Talk

MK:「だいぶ長くなる」ようだが、予定しているという第二部(敗戦後「高度成長期」~1980年代末:ソ連崩壊・55年体制の終焉)、第三部(その後から現在)、どのへんまでやれるのか?
GO:「草稿」を書いているうちに長くなって、確かに途中で息切れしそうな気もする。「歴史学のプロ」ではないが、「歴史」として見れるのは一定時期をおいて評価がさだまってからということもあるようだから、つい昨日までの直近はもともと無理かも。
MK:今を問い返すことが主眼ならば、やり方としては、「戦前」をもう少し簡潔にして、敗戦後から80年代末、つまり、今の「平成」が始まる前までを中心にして、そこにどう「戦前」が入り込んでいるのか、見ていくという形もある。
GO:そういうやり方もあると思うが、僕をはじめ、日本の歴史といっても知らないことが多いのと、書いていると面白いことが多いので、それをみなさんに或る程度丁寧に伝えたいので、こういう積み上げしかないかなと思う。
MG:面白いのでこのままやっていくのでいいと思う。ただ、1980年代末までは是非やりたい。
GO:そうそう、「平成になる」からというより、「55年体制崩壊」と昭和天皇の死去と、それとソ連崩壊が奇しくも重なる画期ともいえるので、そこまでは頑張りますか。

MK:ところで、初めての参加なので、第一部を「ペリー来航」から始めた意味は?
GO:アベなどの好きないわゆる「明治維新」は「武士のクーデター」でしかなく、結果的には大きな社会変革だったが、その動力は、もう少し前から続く農民の蜂起。そうはいっても、あまり前からでは手に余るので、ペリー来航が、蒸気機関車模型と有線電信器という幕府への献上品を見ても、日本が欧米資本主義に触れる出発点として適当かなと。
MK:そう、資本主義の開始だったと思う。そういう意味で、近現代の歴史を資本主義の推移ということを軸にするなら、最近のベストセラー「サピエンス全史」は是非参考にすべきだと思う。「資本主義がどうして続くのか」、あの本でわかった気がする。
GO:NHKの概説ドキュメンタリーを見て「あまり面白くないかな」と思ったが、あらためて取り寄せてみてみる。

YK:ところで、1930年代、日本は「二級国民」をつくったというが、どういう風に?
GO:朝鮮の統治政策、「満州国」の法制などがそう。さらに言えば、「日本人は勤勉なのに貧しい、朝鮮人・中国人は働いていない。だから我々が行ってやるのだ」と侵略と国内の格差の正当化のために「まじめに働かない二級国民」が刷り込まれた。それが今も生きていて、「日本人は勤勉。働かないで生活保護もらうのはとんでもない」という意識も強い。
ちなみに、「自分なりの尊厳のある生活と労働」ということにも関連するが、最近の「精神障害者雇用水増し」に関する福祉労働界からの「とにかく雇用」という動きに対して、精神病者会として闘っているEさんが、重たい障害者30万人を余計に苦しくするとして、パラリンピック反対とともに「障害者の働かない権利」をあらためて打ち出そうとしている。
MG:プチ労でも以前「働かない権利」という議論をしたことがある。

以上

   


1月23日(水) 
こども塾@1月16日133回&23日134回
 2019年こども塾スタート!
 おやつはいも!
   
   
1月14日(月) 
 オリンピック返上!手紙作戦
たみとやジャーナル123号発行
オリンピック返上署名をしてくださったみなさまへ

署名してくれた方へ手紙作戦宛名書き
終わった後は、三里塚八頭いも煮鍋

<お手紙の内容>
オリンピック返上署名をしてくださったみなさまへ

...

皆さんから頂いた熱い五輪反対の意見と676筆の署名(まだまだ集まってます)を携えて10月29日都庁(オリンピック準備局)とオリンピック組織委員会(総務課)に行き、小一時間思いをぶつけてきました。
また、署名を受け取るだけで終わりにさせてはならないので返上しない場合の質問10項目(資料1)を用意して行きました。

返事を待っていたところ12月初めに「ご意見ありがとうございました。今後も復興五輪頑張っていきます!」という“人の話を聞いてたんかい”と言いたくなるひどい返事が送られてきました(資料2:都庁・組織委の返信)。
 怒り心頭の私たちは1月4日仕事始めの日に抗議とともに1月29日に再訪問するのでまともな返事を用意するように伝えたのです。
 しかも組織委員会の総務課長は休みを取っており、“大事なオリンピックのお仕事なんじゃなかったんかい”と更に怒り爆発でした。

これはほっておけない、私も言いたいことがあるという方は、1月29日都庁第一庁舎総合受付に11時にお集まりいただくか、たみとやにご連絡ください。

ついに、JOCの竹田会長の賄賂疑惑のフランス当局の本格的な追求が始まり、返上が本当に実現できる気運が高まってきました。申し入れ行動以外にも、みんなで考えた反五輪年賀状作戦や反五輪音頭を作ったりしています。
 今後は動くモニタリングポスト作戦(競技場の放射線量を測って海外に発信する)、フクシマスタートの聖火リレーコースの放射線量を測りながらデモしよう、など考えています。
 五輪に反対しているグループの方たちとも繋がりたいので連絡先をご存知の方は教えてください。最後までフクシマ隠しの五輪返上の声を上げ続けていきたいと思っていまのでご協力をお願いします。

福島にフタするな!五輪を返上する会
連絡先:目黒区南1-24-14 ℡03-6662-8205
反原発☆反失業リサイクルショップたみとや

 
   
   
 たみとやジャーナル123号発行
オリンピック返上署名をしてくださったみなさまへ



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